やっぱりFDが好きみたい : Canon NEW FD 28mm F2.0
今回紹介するのは「Canon NEW FD 28mm F2.0」です。「F2.8」ではなく「F2.0」です。あえてそこは強調しておきます。
「Canon FDレンズの28mm」で一般的なのはやはり「28mm F2.8」ということになります。玉数も多く出回っていますし、状態のいいものが比較的購入しやすい値段で流通しています。
その陰に隠れて...というのが正しいのかどうかはわかりませんが、今回紹介する「NEW FD 28mm F2.0」は、中古カメラ屋さんでもほとんど見かけることはありませんし、ネットで検索してもあまり情報がありません。市場価格でも3~4倍の価格差はついていると思います。
試写① 旭川で見つけた地下横断道 フィルムシミュレーションACROS
全く同じ時期(1979年6月)に発売された「F2.8」と「F2.0」ですが、当時の販売価格が
- NEW FD 28mm F2.8 35,000円
- NEW FD 28mm F2.0 64,500円
.....でしたから、セールス的にも「F2.8」の方が売れたんだろうな、ということは想像がつきます。(参考までに当時A-1ボディの価格が83,000円)
「28mm F2.8」もCPが高く、コンパクトで扱いレンズなのですが、「28mm F2.0」の明るさ、「9群10枚/8枚絞り」の凝ったレンズ構成に惹かれ、出物はないものかと気に留めて探していました。
「OLD FD」時代を含めても「28mm F2.0」は2つのモデルしかありません。
キャノンカメラミュージアムによると「28mm F2.0」というスペックのレンズが登場するのは1975年。キャノンでS.S.C.(スーパー・スペクトラ・コーティング)が採用され始めてからです。
- FD 28mm F2.0 S.S.C. 1975/11発売 8群9枚 最小絞りF22 質量343g
- NEW FD 28mm F2.0 1979/6発売 9群10枚 最小絞りF22 質量265g
FDの「28mm」レンズには「F2.8」「F3.5」の系統があります。F値が暗いこともあり、そちらの方が登場は古いのですが、レンズ構成的にみても「F2.0」とは別物ですので今回は触れずにおきます。
試写② 石北本線 当麻付近 8枚絞りの光芒
「FD 28mm F2.0 S.S.C.」の頃から、開放から高コントラストでシャープな描写性能を実現し、フローティングシステム機構により0.3mの最短撮影距離を実現しています。「NEW FD」化されると、重量の軽減、フィルター径のコンパクト(52mm)により、使い勝手も向上しています。
- 構成:9群10枚
- 最短撮影距離:30cm
- マウント:FD
- 重量:265g
- 絞り羽根:8枚
- 絞り:F2.0~F22
- フィルター径:52mm
カメラを手にした時のすっと手になじむ感覚、安定した描写性能。すっきりしているだけではない、厚みのある表現をしてくれるレンズです。
やっぱり私はNEW FDが好きみたいです。
これまでのFDレンズの紹介記事:
今さら?...だけど、狙い目の FUJIFILM X-T2
昨秋に「FUJIFILM X-T3」が発売開始された訳ですが、私が手に取ったのは、敢えて「FUJIFILM X-T2」であります。しかも中古であります。
「FUJIFILM X-T3」になってAF機能がずいぶん向上したようですが、オールドレンズで遊ぶためのカメラですから、はっきり言って私には関係ありません。これまで使っていた「X-E2」からの画質向上を期待しての導入です。
「FUJIFILM X-T3」はAmazonさんあたりでも実売17万円以上が相場、一方「FUJIFILM X-T3」の登場のおかげで「FUJIFILM X-T2」の中古相場は下がり気味。画質的にほとんど遜色のない(画素数的には2610万画素vs2430万画素、約180万画素の差)機体が、実質6万円台くらいからゴロゴロしています。私は近所のキタムラさんで程度のいい個体を見つけました。
もちろん「FUJIFILM X-T3」も手に取ってみました。EVFの高画素化は羨ましいですが、それと約180万画素の差の為に10万円以上の価格差は正直払えません。
それに「FUJIFILM X-T2」は日本製ですが、「FUJIFILM X-T3」は中国製になってしまいました。X-Txシリーズは国内生産を維持して欲しかったですよ、富士フィルムさん。手に持った質感は「FUJIFILM X-T2」の方が、いいように感じました(個人の感想です。T3オーナーさん、ごめんなさい。)
余談ですが...とある大手量販店で店員さんから聞いたところでは、富士フィルムはフルサイズミラーレス市場に参戦する気はないようですね。それからトップモデルに位置づけられるカメラ本体、レンズ以外は海外生産にシフトを進めていくようです。富士フィルムらしい判断とも言えますが、ちょっと残念でもあります。
ここからは、これまで使用してきた「X-E2」との比較になります。オールドレンズで遊ぶ上での気になる仕様相違点をあげてみると下記のようになります。
比較対象のカメラ:
X-E2 | X-T2 | |
有効画素数 | 約1630万画素 | 約2,430万画素 |
撮像素子 | X-Trans CMOS IIセンサー | X-Trans CMOS IIIセンサー |
画像処理エンジン | EXR Processor II | X-Processor Pro |
記録メディア | UHS-I対応 | UHS-Ⅰ/UHS-Ⅱ対応 デュアルスロット |
撮影感度 | ISO200~6400 拡張感度ISO100/12800/25600 |
ISO200~12800 拡張感度ISO100/125/160/25600/51200 |
測光方式 | TTL256分割測光 マルチ/スポット/アベレージ |
TTL256分割測光 マルチ/スポット/アベレージ/中央重点 |
露出補正 | -3.0EV~+3.0EV 1/3EVステップ | -5.0EV~+5.0EV 1/3EVステップ |
シャッタースピード |
30秒~1/4000秒(メカニカル) | 30秒~1/8000秒(メカニカル) |
モニター | 3.0型 |
3.0型 3方向チルト |
ファインダー | 0.5型 有機ELファインダー | 0.5型有機ELファインダー |
USB | USB2.0(High-Speed | USB3.0 マイクロB端子 |
標準撮影枚数 | 約350枚 | 約340枚 |
フィルム シミュレーション |
11モード | 15モード(ACROS、ACROS+Yeフィルター、 ACROS+Rフィルター、ACROS+Gフィルター) |
画質......
画素数が約1.5倍ですから、画質が向上するのは当たり前といえば当たり前。一昔前のフルサイズ並みの画素数ですから、解像感は1ランク向上しています。同じものをとり比べたわけではありませんが、絵作りに関しては「富士フィルムの色」であることに変わりありません。ファイルサイズもRAW撮影で約33MB/枚から約50MB/枚へ増加。HDの空き容量が気になってきます。
記録メディア......
X-E2はシングルスロット、X-T2はUHS-Ⅱ対応のデュアルスロットです。動画や連写はほとんど使用しないのでI/O速度の変化はほとんど気にしませんが、ファイルサイズも大きくなっていますので保存容量増加はありがたい機能です。
感度......
通常感度/拡張感度ともに高感度域が広がっています。夜間撮影の幅が広がります。
測光方式......
X-E2には中央重点測光がありません。これはX-E2を使っていて腑に落ちない点でもありました。昔のフィルムカメラって中央重点測光が主たる測光方式だったように記憶しているのですが、それが無いのはなぜ?と感じていました。
一方、X-T2の測光にはちょっと癖があるように感じています。被写体の明るい部分に引っ張られる傾向があり、結果的にアンダーな絵になることがあります。また、オールレンズをつけて絞り込んでいくとF11くらいから、これもまたアンダーになる傾向があります。
露出補正......
本体上部の露出補正ダイヤルで設定できるのは±3.0EVですが、本体前面のダイヤルに露出補正機能を割り当てると±5.0EVまで拡張されます。ファインダーを覗きながら調整できるので、この機能は大変重宝しています。
シャッタースピード......
X-T2は最高速度が1/8000秒になっています。X-E2では1/4000秒でしたので絞り開放時に対応できないことがありましたが、幅が広がりました。
モニタ......
3方向チルトタイプになり利便性向上! ちなみにX-T3ではタッチパネルが採用されていますね。LCDモニタのタッチパネル化については私はちょっと否定的です。それはそれで便利かもしれませんが、べたべた触ると画面が汚れて画像確認しずらくなりませんか? タッチパネル対応のカメラも所有してますが、なるべく触らないようにしています。
ファインダー......
EVFのカタログスペックはX-E2/X-T2ともに同じようですが、どうみても私の目にはX-T2の方が見やすく感じます。サイズや画素数だけでなく、プロセッサの処理速度が影響しているのかもしれません。
USB......
ファイル容量も大きくなっていますのでX-T2のUSB3.0対応は当然といえば当然かもしれません。WiFi転送をほとんど使わない私にとってはUSBの速度向上は大変ありがたい。ちなみにカメラ本体側のコネクタ形状もX-E2/X-T2では違います。
バッテリー......
カタログスペック上では標準撮影枚数は10枚の差しかありませんが、体感的にX-T2の方が2割くらい少ないんじゃないかと感じます。どう考えてもX-T2の方が消費電力は大きい訳で、仕方ないんでしょう。機種間で同一のバッテリを使うか、機種によりバッテリ容量を変えるか、メーカーさんとしては難しい選択でしょうね。だけど、もう少しもってほしいです。私は純正バッテリ2個、サードパーティーのバッテリ2個の4個体制で運用しています。
フィルムシミュレーション......
X-E2のフィルムシミュレーション11モードに加えて、X-T2ではシャープな質感のモノクロACROS系の4モードが追加されています。
あるかどうかわからないけど次期Firmwareへの期待
- 測光のあばれ傾向の改善
- X-T3には搭載されたフィルムシミュレーション「エテルナ」の搭載
私なりの結論。今さらだけど、こんな人に「FUJIFILM X-T2」はお薦め。
- 最新機種にこだわらない。
- APS-Cカメラにコストはかけたくない。
- 中古でもいい。
- オールドレンズで遊びたい。
- AF機能はそこそこでいい。
- 日本製がいい。
- 動き物、動画の撮影機会が少ない。
- 富士フィルムの絵作りが好き。
レンジファインダースタイルの「X-E2」より一回り大きい訳ですが、持ち歩きに際して大きさ、重さを感じることはまずないですね。まだ新品在庫で、10万円くらいで販売されているようですし、値段もこなれて新品/中古いずれにしても、かなりお買い得な状況になっていると思います。
私的には、もうしばらく併用し特に問題なければ、「X-E2」から完全移行ということにしようと思っています。
ではでは.....
北海道の最高峰 旭岳
まだまだ雪深い北海道の最高峰旭岳です。
スノーシューを履いてトレッキングしました。
この時の撮影機材は「Canon EOS 5D MarkⅢ」+「EF 24-70mm F4L IS USM」です。
冬の間、こんなふうにすっきりと姿を見せてくれるのは年間数日しかありません。
北海道もだんだん寒さが緩んできました。...とは言っても、三寒四温。
この時期、東京にいた頃は花粉症に悩まされました。
北海道に来てからは、気温差のせいか微熱が続いたり、胃腸の調子が悪くなったり、体調が悪くなる季節です。気を付けなくては.....。
(独り言)最近のトピックス
...10万km走行の愛車の車検が無事終了。とてもきれいな状態だと言われて..うれしい。
...無限遠がずれていたレンズの修理代が8,000円。買った方が安かったかも....悲しい。
カメラ選びに関する独り言
今日は、朝から雪が降ったり、やんだり.....すっきり晴れてくれないかな。
.......カメラ選びに関する独り言.....
AFレンズにはフルサイズ一眼レフカメラ....これが今の私のスタイル。
最近、新型のフルサイズミラーレスカメラが話題だけど、どうにも食指が動かない。
どんなに性能が良くてもダメです。
カメラには手に取った時の「カメラらしさ」「質感」みたいなものを求めます。
それは、私にとって大事な要素です。
レンズ資産があるからC社には期待してるけど...
ちょっと今のデザインでは.....無理です。ごめんなさい。
フルサイズミラーレスは、値段もかなり上昇傾向。
プリズムという工作精度が必要な機構を持つ一眼レフ。
LCDをはめこんでいるEVFの方がコスト的に安くできるのでは?
...などと思ってしまうのは気のせい?
まだまだ、フルサイズ一眼レフとの付き合いは続きそうです。
雪解けが始まりました 北海道東川町
2月も終わりです。北海道東川町周辺でも雪解けが進み始めました。
「YASHICA ML 50mm F1.7」で撮影しました。逆光でも結構頑張ってくれます。
この時期になると、雪が重くなる前にということでしょうか、除雪車や雪捨て場に向かうダンプが、盛んに街中を走り回ります。町内の雪捨て場の雪山はどんどん高くなります。
道路もアスファルトが顔を出しました。一つ路地に入るとぐしゃぐしゃでつるつるのぼこぼこです。
分かりづらいですが...隣家の屋根の高さくらいまでせり上げられたバス停。
除雪車が通るたびに、徐々に道端に追いやられてこんなことになってしまいました。
旭川の街中に行くと消防レスキュー車のサイレンが頻繁に聞こえてきました。
なんでかというと....落雪事故ですね。
雪庇が一気に屋根の上から落ちてきてとても危険です。
東川町には木材加工工場が点在しています。
旭川家具とよばれるブランドがありますが、その中の家具工房のいくつかは、ここ東川町にあります。
街の周辺の田んぼは、まだ真っ白な雪原です。あとしばらくして降雪も少なくなると融雪剤がまかれます。
道路に撒かれる融雪剤と農業用の融雪剤は別物です。農業用の融雪剤には太陽光を吸収して雪解けを促すように黒いカーボンブラックが配合されています。
雪の上に黒い筋模様がうねうねと描かれ、それを見るとそろそろ春がくるな~と実感します。
今回の記事では「YASHICA ML 50mm F1.7」と「PENTAX Super Takumar 35mm F3.5」を使用しています。
以前東川町を紹介した記事では「PENTAX SMC Takumar 35mm F2.0」を使用しましたが......う~むF3.5の方が全然使いやすいぞ。中古市場では数倍値段が違うのに、これはいかがしたものか。
⇩以前東川町を紹介した記事はこちら⇩
使用レンズ:
CP抜群レンズ : PENTAX Super TAKUMAR 35mm F3.5
PENTAX Super TAKUMAR 35mm F3.5の紹介です。
そんなに使いこんだ訳ではないですが...結論から申し上げると、このレンズいいです。「コンパクト」「安い」そして「しっかり写る」、三拍子そろっています。
「コンパクト」......全長約35mm。マウントアダプタを介してもボディとのバランスも上々。何よりカメラバッグにいつもいれておいても邪魔にならない。
「安い」......玉数的には「28mm F3.5」に次ぐ多さ、いつでも見つけることができる。50mmや55mmのように転売屋さんのターゲットになっていないので安値安定。5千円も出せば程度のいいのが見つかる。オークションならもっと安くゲットできるかもしれません。
「しっかり写る」......この値段で安心して使える描写力。アトムレンズではないので黄変も無し、値段が数倍するF2.0~F2.8クラスの他のレンズと比べても解像力は負けていません。
「M42マウント・Takumar 35mm F3.5」シリーズの変遷をまとめると下記のようになります。基本的なスペックは踏襲されていますが、細かなモデルチェンジを繰り返していたようです。
- 1959年~ 「Auto-Takumar 」 最大絞り:F22
- 1962年~ Ⅰ型「Super-Takumar 」 最大絞り:F22
- 1964年~ Ⅱ型「Super-Takumar」 最大絞り:F16
- 1966年~ Ⅲ型「Super-Takumar」 最大絞り:F16 距離指標:覗き窓
- 1971年~ 「Super-Multi-Coated Takumar」 最大絞り:F16
「Super-Takumar 」時代だけでも、大きく分けて3世代のモデルが存在しています。ちなみに私の所有個体はⅢ型の距離指標が「覗き窓」になっているタイプです。
さらにⅠ型、Ⅱ型には、それぞれ書体や指標表示の異なるタイプが存在しているらしいです。いったい、いくつのバリエーションが存在するのでしょうか。
<Ⅲ型の主な仕様>
- 構成:4群5枚
- 最短撮影距離:45cm
- マウント:M42
- 重量:152g
- 絞り羽根:5枚
- 絞り:F3.5~F16
- フィルター径:49mm
もちろん不満が無いわけではありません。F2.0クラスに比べればボケがきれいなわけでもないし....とか、近接撮影距離がもう少し短ければ....とか、逆光耐性が....などと思うことはありますが、素性はすばらしいものがあると思います。
シンプルな構成の安価なレンズです、多くはもとめません。抜群のCPであることは間違いなし。安心しておすすめできる一本です。
少しだけ作例をご紹介。
横浜 山手散歩 with Canon NEW FD 35mm F2.0
何気なくテレビをつけたら、「春の家電祭り」なる通販番組を放送していた....
春?春なんですか?ちょっと気が早くないですか、言ってもまだ2月ですよ。
4月の新生活シーズンに向けての企画なんだろうけど、実感わかないな~。
ここは北海道、やっと最高気温が氷点下を脱しようかという今日この頃。
通販会社さんの本社は長崎だから、あちらはもう春なのかな。
⇩使用レンズの紹介記事はこちら⇩
それはさておき、今回の写真はお気に入りのレンズ「Canon NEW FD 35mmF2.0」をお供に横浜山手地区の西洋館を散策したときの様子の紹介です。
山手地区の西洋館は、一部店舗として営業しているところもあるようですが、見学は無料です。
ボランティアの方も常駐されていて、きれいに維持されており、気軽に見学することができます。
展示イベント等が開催されている期間は結構混んでいますので、ゆっくり散策したければ通常期の平日がいいかもしれません。
今回の写真は、たしか....「ベーリック・ホール」か「山手234館」あたり...ちょっと良く覚えてない。すぐ隣の「エリスマン邸」はカフェも兼ねてて、とても混んでいたのでパスです。
西洋館の雰囲気が表現できてるでしょうか.....。
やはり「Canon NEW FD 35mmF2.0」はいいですね。室内&開放気味の撮影でも、ファインダーの明るさも十分、ピント合わせもしやすい。室内でのMF撮影は、これくらいのF値があると助かる。
FUJIFILMのボディーとの相性もいいのかな..色乗りも上々に思います。
この日の撮影の様子は何回かに分けて紹介します。とりあえず今回はこの辺で..。
⇩横浜山手西洋館の公式サイトはこちら⇩
⇩使用カメラの紹介はこちら⇩