PENTAX Super Takumar 50mm F1.4 ~ 8枚玉のはなし
オールドレンズに手を出してしまうと、何か面白い出物がないかな~と思い、中古カメラ屋さんのHPを覗いてみたりするもんです。特に目当てが無くても、週に1~2度は覗いてみたりしますが、時折「このレンズ面白そう」なんて思うものを見つけても、大抵は「SOLD OUT」。なかなかお宝には巡り合えません。
いつものように、何となくネットショップを見ていたところ、たまたま見つけたのが、このレンズ「PENTAX Super Takumar 50mm F1.4」の「 8枚玉」でした。
「Super Takumar 50mm F1.4」には「8枚玉」と「7枚玉」が存在するのは、割と有名な話。「8枚玉」が初期型、「7枚玉」がアトムレンズを使用した後期型になります。「8枚玉」は製造開始から約1年くらいしか生産されなかったので、割と珍重されています。
Takumar銘柄の50mm F1.4の系譜を簡単にまとめると、こんなかんじ。
- 1964年 Super Takumar 6枚絞り 6群8枚 非アトムレンズ
- 1965年 Super Takumar 6枚絞り 6群7枚 アトムレンズ
- 1971年 Super-Multi-Coated Takumar 8枚絞り 6群7枚 マルチコート/アトムレンズ
- 1972年 SMC Takumar 8枚絞り 6群7枚 マルチコート/ラバーリング /アトムレンズ
以降、1975年にKマウントの「SMC PENTAX」となり、Takumar銘は終了します。
残念なことに「8枚玉」は転売ヤーさんのターゲットにされていますので、中古相場的には、お高め。だいたい「7枚玉」の倍くらいの価格で取引されてるように思います。はっきり言って「8枚玉」と「7枚玉」、どっちが性能がいいかなんて私の「駄目」にはわかりません。ホワイトバランスさえ調整すれば見分けることなんてできないでしょう。したがって、転売ヤーさんに大枚払うのも嫌だし、アトムレンズに手を出したくないと思っている私にはあまり興味のない存在でした。
たまたま、とあるショップのサイトに掲載されていたこのレンズ、「7枚玉」の相場価格で販売されてました。どうせ「アトムの7枚玉でしょ」と思って、何となく製品画像を見てみたところ.....赤外線指標が深度目盛り「4」の右側にある...これって「8枚玉」の光学特性の証だよね.....レンズも黄変してないし.....これってやっぱし「8枚玉」みたい。
判別する手段として一般的なのは、シリアル番号。ですが...この頃は製品毎に連番で附番されてなかったようで、一概にシリアル番号だけでは判断がつきにくいらしい。
もう一つの手段としては、鏡筒に印字される字体のデザイン。しかしこれも、旧字体、新字体の両バリエーションが存在するらしいので、決定的な判断材料にはならない。
この値段で販売されてるからには、何か訳あり品なのかもしれない...さてどうしたものか.....(かなり悩んで)え~い、ダメ元!ポチリました。
さてさて...ポチリしてから三日後。届きました。下記の項目を順にチェックです。
- 赤外線指標が深度目盛り「4」の右側
- レンズの黄変は見られない。光学的にも概ね良好。
- 無限遠、問題なし。
- 絞り開閉動作、問題なし。
- ピントリングの重さ、問題なし。
- そして実測重量は公称値と同じ245g。(7枚玉は重量が異なる)
後に詳しい方のサイトを拝見して分かったのですが、この「Super Takumar 50mm F1.4 8枚玉」は、製造期間が短かったにも関わらず、その間には、内部構造や外観の変更など、細かな仕様変更があったようです。
鏡筒の字体やシリアル番号から類推するに、この個体は「8枚玉」時代の後半のものの様です。そのバリエーションによって、相場的に差があるのかどうかはわかりませんし、どうでもいいです。私の手元に普通に使える「8枚玉」がきた、ただそれだけです。
- 構成:6群8枚
- 最短撮影距離:45cm
- マウント:M42
- 重量:245g
- 絞り羽根:6枚
- 絞り:F1.4~F16
- フィルター径:49mm
それでは、早速試し撮り....
使用カメラはFUJIFILM X-T2
撮影はRAWモード、現像は「RAW FILE CONVERTER EX 3.0」。
カラー現像は「PROVIA」、モノクロ現像は「ACROS」。
カメラの設定は、ほぼ標準設定のままでテスト。
解像感、発色、そしてボケ味.....バランスが良くて、とても使い易そうです。評判どおり、なかなかいいレンズです。気に入りました。
では、また~