餌撒きレンズだなんて言わせない:NIKKOR-H・C AUTO 50mm F2.0
このレンズは私にとって初のNikon50mm標準レンズでした。
皆さんは「最初の一本」としてNikonのMF50mm標準レンズを購入するとしたら、何を選びますか?
カテゴリを分けて考えると....
- F1.4系か、F1.8系か?
- 性能重視で新しいモデルか、オールドモデルにこだわるか?
....という選択になりますね。代表的なモデルを挙げるとしたらこんなかんじ。
- 「F1.4系/性能重視」→ Ai Nikkor 50mm F1.4S等
- 「F1.8系/性能重視」→ Ai Nikkor 50mm F1.8S等
- 「F1.4系/オールドモデル」→ Nikkor-S Auto 50mm F1.4等
- 「F1.8系/オールドモデル」→ Nikkor-H Auto 50mm F2.0等
真っ先に候補に挙がるのは「Ai Nikkor 50mm F1.4S」。これさえ買っときゃ間違いない、定番中の定番ですからね。流通量も豊富ですが、人気もあるのでお値段もそれなりにします。程度のいいもので¥15,000-くらいの出費になります。
悩んだ悩んだ悩んだ挙句、決めました。思いっきり「遊び」方向に振って「F1.8系/オールドモデル」で探しました。
「F1.8」の系統という書き方をしてますが、元をたどれば「F2.0」から始まっています。最初期のモデルは7枚レンズの「Nikkor-S」。光学技術の進歩で、のちに6枚レンズの「Nikkor-H」へと変更されます。
「Nikkor-H Auto 50mm F2.0」の系統は、当時として設計に無理がないせいか、「F1.4」よりも優秀な面もあるとか...。はまったら何かやってくれそうな感じ、どんな画をはきだすのか蓋を開けてみないと分からない感じ、そんなところに惹かれていしまいました。
その歴史をざっくりまとめるとこんな感じ。
- 1959年 Nikkor-S Auto 9枚絞り 5群7枚 銘板:Nippon Kogaku Japan
- 1960?年 Nikkor-S Auto 6枚絞り 5群7枚
- 1964年 Nikkor-H Auto 6枚絞り 4群6枚
- 1971年 Nikkor-H Auto 6枚絞り 4群6枚 銘板:Nikon
- 1972年 Nikkor-H・C Auto 6枚絞り 4群6枚 マルチコート化
- 1974年 Nikkor 50mm F2 6枚絞り 4群6枚 ラバーリング 最短撮影距離:45cm
- 1977年~1979年 Ai Nikkor 50nn F2 6枚絞り 4群6枚 Ai化
そして、1978年に発売された「F1.8」に役目を譲り、「F2.0」のモデルは終了します。
ここで、また悩むのが初期の「-S」の7枚レンズにするか、「-H」の6枚レンズにするか、という問題。
「ニッコール千夜一夜物語」によると、「光学設計技術の進歩によって、ガウスタイプの光学系(6枚レンズ)でも、十分なバックフォーカスを確保した」とのこと、ネットの記事を見ても「-S」だから評判がいいという話も見当たりません。
年式が古いだけあって、「 Nikkor-S」の玉数は少ないですね。最初期の「9枚絞り」ともなると珍重されているらしく信じられない値段になっています。一番見つかるのが、製造期間が長かった「Nikkor-H」。次が「Nikkor-H・C」といったところでしょうか。「9枚絞り」を除けば、どれも¥4,000~¥5,000くらいで入手できます。元々、廉価版標準レンズの位置づけですからね、結構お手頃です。
そして、わたしの手元にあるのが「 Nikkor-H・C Auto 50mm F2.0」です。
- 構成:4群6枚
- 最短撮影距離:60cm
- マウント:F
- 重量:205g
- 絞り羽根:6枚
- 絞り:F2.0~F16
- フィルター径:52mm
ここからは「 Nikkor-H・C Auto 50mm F2.0」で撮影したスナップショットをご紹介。
安価に入手したレンズですが、今では割とお気に入りの50mmです。独特の濃淡、発色があって、はまるととてもいい雰囲気をを醸し出してくれます。これだけの描写ができて二千数百円ですからね、いい買い物でした。オールドレンズに限っては、安いからダメ、高いからイイという常識はあてはまりませんね。