最新レンズにも負けない描写性能 : Nikon Ai Nikkor 35mm F2S
Nikonの「35mm F2.0」スペックのMFレンズとしては最終モデルにあたる「Ai Nikkor 35mm F2S」です。
この個体はシリアル番号から推測するに最後期の2004年~2005年頃の製造と思われます。
もはやオールドレンズではありません。私が所有しているオールドレンズは1970~1980年代のものがほとんどですので、最新型といってもいいくらいです。
当たり前に良く写るレンズ、そしてオールドレンズとしての個性より、他のレンズを評価するうえでのベンチマーク的な役割を期待してこのレンズを選びました。
なにせニコンですからね、発色、コントラスト、解像度、ボケ、すべての点において不満はないはずです。
「35mm F2.0」の始まりは1965年までさかのぼります。6群8枚という基本構成は変わっていないようです。簡単に変遷をまとめると....
- 1965年~ 「Nikkor-O Auto 」 最大絞り:F16 銘板:Nippon Kogaku Japan
- 1971年~ 「Nikkor-O Auto 」 最大絞り:F16 銘板:Nikon
- 1973年~ 「Nikkor-O・C Auto」 最大絞り:F16 Multicoat化
- 1975年~ 「Nikkor 35mm F2」 最大絞り:F22化 ラバーフォーカスリングの採用
- 1977年~ 「Ai Nikkor 35mm F2」
- 1981年~2005年 「Ai Nikkor 35mm F2S」
....以上のようになります。Ai-S化されてからも20年以上販売されていたロングセラーもモデルです。
「Ai Nikkor 35mm F2S」は製造後期になるとSIC(スーパー・インテグレイテッド・コーティング)が採用され、さらに抜けが良く、カラーバランスの良いレンズに改良されています。
SICモデルかどうかは、ぱっと見では区別がつきません。シリアル番号で判別することになります。私はSICモデルが欲しかったのでシリアル番号を見ながらこの個体を探しました。
MFレンズに何を求めるかにもよりますが、中古市場では非SICモデルがほとんどです。私が参照している資料によると、このモデル「Ai-S」が1981年から2005年に生産された数量は約12万3千個。そのうち最後期に生産されたSICモデルは約1万3千個ですから、中古市場でSICモデルにあたるのは、約1/10の確率です。
程度のいいものが2万円くらいから流通していますが、SICモデルか否かを表示しているショップは殆ど無いので、より高性能を求めるのでしたら注意が必要です。
正直なところ、私はキャノンがメイン機材なので、Nikon初心者です。
Fマウントと一言で言っても、非Ai、Ai、Ai-S、Ai改とかいろいろあって、もう訳わからんって感じです。要するにマウントアダプタを介してミラーレスで遊ぶぶんには、さほど気にすることは無いという結論ですけど.....あってるかしら。
- 構成:6群8枚
- 最短撮影距離:30cm
- マウント:F
- 重量:280g
- 絞り羽根:7枚
- 絞り:F2.0~F22
- フィルター径:52mm
開放で試し撮りした時の一枚。開放から抜けがよく、透明感の高い描写です。
最短撮影距離30cmを誇り、ピントリングのスムース感、使い勝手も上々です。いまのところ出番が少ないのですが、実力はピカイチ。どんどん使っていきたいですね。